Influence of the windlass mechanism on arch-spring mechanics during dynamic foot arch deformation
Lauren Welte
Luke A. Kelly
Journal of The Royal Society Interface
IF:3.355(2017) 4.216(5yr)
J. R. Soc. Interface 15: 20180270.
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クラスターマーカーセット:プラスチック上にマーカーを配置して、モデリングする。
選定理由
ウインドラス機構の役割に関して最近立て続けに4本論文(Kelly班が2本、Lieberman班、千野さん)が出てきたのと、著者がはだし系研究者で重要人物の一人で、知見のアップデートのため選定した。
abst
我々の仮説に反してウィンドラス機構が働くと、アーチはより多く変形して、機構が働かない時より多くのエネルギーを吸収して、消失した。
ウィンドラス機構のこの働きは、アーチの橋梁構造を静止長により近い、正しい位置に置くことで中足部の回転軸を変え、そのコンプライアンスを増やした。
本研究は、足部の中でのエネルギー保存に振る舞う目的としての、ウィンドラスとアーチプリング機構の間の相互に新たなエビデンスを提供した。
1. Introduction
歩行と走行は人間の移動動作にとって不可欠な動きである。ある速度の範囲内で絶え間なく地面の上を操縦する能力は、足部の多くの小さな関節でのエレガントな相互作用によって促進される。足は地面の変化に適応し、適合した構造として機能し、エネルギーの吸収と伝達を調整する。しかし、足はプッシュオフ時に前方への推進を助け、より硬いテコとしても動作する。この2つの適合ー剛性(compliant–stiff )機能は、二足で歩き、走るために重要な役割を果たすと考えられている。
足の剛性を調節する役割を果たすと考えられる主な構造は内側縦アーチ(MLA)である。 MLAは、MLAの長さ全体に及ぶ靭帯および筋肉構造の両方によって支持されている9つの骨(踵骨、距骨、舟状骨、3つの楔状構造および最初の3つの骨格)によって形成される 。受動的な構造(足底筋膜、長短足底靭帯および踵骨靭帯など)は、人間の歩行を促進すると考えられる2つの機構を調節するのに特に重要な機械的役割を果たす:アーチスプリングおよびウィンドラス(fig.1)。
アーチスプリングとウインドラスメカニズムは、足の二分性のcompliant–stiff な振舞いの両側を表している。アーチは、歩行の立脚初期および中期の間に高さが圧縮され、長さが伸びるので、compliant(変形しやすい形状)であり、ばね状である。 その後、アーチは立脚後期で上昇し短縮し、足の硬化を助け、プッシュオフ期の推進を助ける。一方、Hicksはアーチが立脚後期にcompliantから硬くなる移行現象は、足底筋膜の巻き上げ作用によるものだと提案した。ウインドラスメカニズムは、立脚後期におけるMTP関節の伸展(dorsiflexion)が中足骨頭(またはウインドラスのドラム)の周囲に足底筋膜を巻き付けることを示唆している。足底筋膜のこの巻上げは、踵骨を引っ張り、アーチを短くして上げ、距骨下関節を踵骨に対して反転させる。Hicksの仮説の重要な前提は足底筋膜が非常に硬いことである。
ウインドラス機構が足の機能を適切にモデル化した場合、MTP関節の伸展はアーチの長さと高さの変化に対応する。しかし、アーチの長さ変化とMTP関節の角度変化が一定である場合、足のこの変化に対応するために足底筋膜は伸長/緊張しなければならない。Hicksは、足底筋膜が最小限の伸張を伴ってウインドラス作用を行うのに十分な硬さであると結論づけた。だが、歩行中に足底筋膜の伸張とエネルギー収支が計測され、力学的負荷作業中にウインドラスの効果が減少する可能性があることが示唆された。以前の屍体と有限要素研究では、足底筋膜のひずみに対するMTP関節の角度変化の影響を調べ、MTP関節の伸展の増加が組織のひずみを増加させることを示した。しかし、生体でMTP関節角度を変化させると、アーチメカニズムとエネルギー収支にどのような影響が与えられるかは不明である。
歩行中に足に負荷がかかる時のアーチの軟部組織の伸張は、Kerらが提案したアーチスプリング機構と一致している。ランニング中の地面反力に類似した負荷で、屍体の足に周期的な圧迫をかけると、アーチの他の靭帯構造が弾性エネルギー貯蔵およびリターンに実質的に貢献したと強調した。したがって、これらの2つの機構(ウインドラスとアーチスプリング)が、MTP関節角度の変化が内側縦アーチの形状と機能にどのような影響がるか疑問である。同様のin vivo実験をKerらが用いて、MTP関節角度がアーチの剛性、エネルギー、運動負荷にどのように影響するかを調べた。我々は、足趾の伸展が、足底筋膜を予め緊張させ、アーチの有効スティフネスを増加させることによって、アーチの変形を減少させると仮定した。また、伸展されたMTP関節によるアーチの増大した剛性および変形の減少は、屈曲したMTP関節の状態と比較して、足に吸収され、リターンするエネルギーがより少なくなると仮定した。
2. Methods
9名の下肢の外傷の既往歴がない健康な被験者(男性8名、女性1名、体重:80±12kg)に本研究の参加について、インフォームドコンセントを取得した。
力制御式電磁アクチュエータ(Linmot PS10-70x400U-BL-QJ、NTI AG Linmot、スイス)は、2つの速度のうちの1つを、シャンクを介して被験者の足に圧縮力を加えた。 力は膝に直接加えられ、シャンクは垂直に対して約15°で(踵離地前の歩行中の立脚中期の後半に類似させた)(figure 2)
MTP関節角度のアーチ変形に対する影響は、MTP関節を地面に対して、30度屈曲位、ニュートラルまたは30度伸展位に受動的に固定することによって検証した。MTP関節の各ポジションに対して角度を付けた薄くて硬い金属板を母趾球にしっかりと配置した。つま先はテープを括り、実験中の角度変化を防いだ。 Kerらと同様に足を2つの台座と接触させた。 母趾球の台座はグリップで固定した。 踵の台座は、底に固定されたベアリングを付けていたので、前方に自由に移動することができた。
3700Hzでサンプリングする6自由度の床反力計(Bertec、USA)をこのカスタム装置の下に配置した。 被験者は、体重を基準とした荷重が膝にかけられ、足アーチを圧縮、保持、解放する間、リラックスするよう指示された。 fast試行は、3.5± 0.7BW/s(平均±s.d.)の負荷率であった。これは、1.0-1.5m/sで歩行する時の地面反力の最初のピークと同様の負荷として選択した。slow試行は1.3±0.1BW/sの負荷率であった。圧縮時間はfast試行で0.23±0.05秒、slow試行では1.3±0.3秒でそれぞれのMTP関節角度でランダムに試行された。
185Hzでサンプリングした6台のカメラ(Qualisys、Sweden)は、足部および脛の皮膚表面に置かれた20個の反射マーカー(9.0mm)の3次元位置を同定した。マーカーセットは、Leardiniらと同様であり、第2および第4趾基節骨の遠位端にエクストラマーカーを付けた。さらに、剛性下腿クラスター上に3つのマーカーを配置し、1つのマーカーを大腿骨内側顆上に配置し、1つのマーカーを大腿骨外側顆上に配置した。 後足部、中足部、前足部からなるマルチセグメントフットモデルは、Leardiniらのマーカーセットから開発された。足の前額面は、踵骨、第1中足骨および第5中足骨マーカーを含む平面である。 矢状面はこの面に対して垂直であり、横断面に投影された踵骨と第2中足骨マーカーの間のベクトルに沿って交差する。動作および力のデータは、高速フーリエ変換法で分析された、6Hzのカットオフ周波数を有する4次ローパスバタワースフィルタでフィルタリングされた。 Matlab(Mathworks、Natick MA)で実施されたカスタムアルゴリズムを用いて、15Nの閾値で、地面反力の鉛直成分の立ち上がりと設定した。
内側縦アーチ角度(MLA角)およびMTP関節角度(F2Psinと名付けられた)は、確立されたモデルに基づいて計算された。 簡単に述べると、MLA角は、踵骨後面、踵骨の載距突起および第1中足骨の骨頭のマーカー間の足の矢状面の投影角度である。圧縮の開始時のMLA角度は、ΔMLA角度として試行中の最大MLA角度から差引かれる。増加した正のΔMLA角は、アーチが水平に長くなり垂直に圧縮されていることを示す。 第1中足骨基部、第1中足骨頭、および第2中足骨のマーカ間の、矢状面に投影される角度は、MTP関節角度である。 基準となるニュートラルポジション(つま先がまっすぐ)は、負荷をかけずにとられて、足趾の伸展はゼロとみなされた。
アーチの長さは、被験者の最長記録アーチ長で正規化した(table1)。それは足底筋膜の浅層の経路に沿って、踵骨後面と第1中足骨頭マーカーとの間の距離であった。伸張度合は、試行中のアーチの長さ範囲として定義された。アーチ高は、膝上に加えられた力と同じ位置次元で、舟状骨マーカーの垂直変位であった。試行開始時のアーチ高を、アーチ圧縮を計算するための試行中の最も低いアーチ高から差引き、その被験者の最大アーチ圧縮高に対して正規化した(table1)。アーチの高さは時間に関して微分され、アーチ速度が計算され、これに垂直力が乗算され、アーチパワーが得られた。 1回の圧縮サイクルでアーチパワーカーブを時間の経過とともに積み重ねると、アーチの動態が確認できた(figure3)。absorbed(吸収)エネルギーは、試行(loaded)と試行の開始(unload)の間で測定された絶対最大エネルギーの範囲として解釈された。returned(戻り)エネルギーは、absorbedエネルギーと試行終了時のエネルギー値との差であった。dissipated(放出)エネルギーは、absorbedエネルギーとreturnedエネルギーの差であった(figure3)。returnedエネルギー割合は、absorbedエネルギーに対する戻されるエネルギーの比とした。
アーチの形状変化を定量化するために、アーチ圧縮試行中に前足部セグメントが後足部セグメントに対して回転した軸を、helical運動軸として算出した。helical軸は、3次元(3D)の回転とそれに沿った剛体の3D上の移動で生じる単一軸として定義される。 前足部セグメントは、全てのフレームに渡って、最初に後足部に対して定義された。 次に、試行の最初のフレーム(アーチ変形なし)と試行の中間点の5フレーム(最大アーチ変形ポイント)で、helical運動軸を算出した。 これらの5つのフレームの回転軸の成分ごとの平均値はノイズを減らして、local foot座標系で表した。 主成分分析は、回転軸の平均単位ベクトル、すべての試行条件、およびすべての対象に渡って実施した。
ウインドラスの静的振舞いを検証するために、足が静止してunloadの時に、MTP関節角度とアーチ長との相関を評価した。 MTP関節角度およびアーチ長は、各被験者について6つの組み合わせで各試行条件について決定された(slow/fast・伸展/ニュートラル/屈曲)。分散分析(ANOVA)は、プールされたデータポイントについて最小二乗直線回帰で検証した。
二元配置反復測定ANOVAは、アーチのエネルギー(吸収、リターン、放出エネルギー、およびエネルギー率)に及ぼすMTPJ角度(伸展30度/屈曲30度)および負荷速度(アーチ伸張、アーチ圧縮、ΔMLA角度、Δhelical軸回転)で実施された。分析を単純化するために、ニュートラル条件はANOVAに含めなかった。
対応のあるt検定で、MTP関節角度と角速度の間の回転軸の主成分の差が評価された。
αレベルは0.05に設定した。すべての分析はMatlab(Mathworks、Natick)で書かれたカスタムソフトウェアを使用した。
3. Results
unloadな静的状態では、足趾が伸展位の方が、屈曲位と比較してアーチ長が5±1%(最大長に対して)短くなった(P<0.01)。各被験者は、MTP関節の角度が屈曲から伸展に変化するにつれて、アーチ長が減少した。 アーチ長とMTP関節角度との間には、被験者固有の相関が有意であった(R2>0.92)。 プールされた傾きも有意な線形関係であった(R2=0.67,p<0.01)。(figure 4).
足部を圧縮中の足趾の状態はアーチによって吸収と放出されるエネルギーに有意な影響を及ぼした(table.2)。MTP関節底屈位(P)と比較して、伸展位(D)では、アーチにより多くのエネルギーを吸収させ(D=23.1±8.0mJ/kg,P=20.6±5.4mJ/kg,p<0.05)、放出させた(D=7.5±4.4mJ/kg,P=6.2±3.4mJ/kg,p<0.05)。しかしながら、MTP関節角度は戻りエネルギー(D=15.6±5.4mJ/kg,P=14.5±4.9mJ/kg,p=0.08)や戻りエネルギーの比(D=0.68±0.11mJ/kg,P=0.70±0.14mJ/kg,p=0.11)には有意な影響がなかった。
fast試行(F)またはslow試行(S)の圧縮速度は、アーチのエネルギーに影響を与えた(table 2)。足部を素早く圧縮すると、slow試行より多くのエネルギーが吸収され(F=24.2±8.1mJ/kg,S=19.5±4.5mJ/kg,p<0.05)、戻された(F=17.3±5.6mJ/kg,S=12.8±3.4mJ/kg,p<0.01)。興味深いことに、放出されたエネルギーは2つの速度間で有意差が無く(F=6.9±5.0mJ/kg,S=6.7±2.7mJ/kg,p=0.86)、戻りエネルギーの割合についても差がなかった(F=0.72±0.14mJ/kg,S=0.66±0.10mJ/kg,p=0.19)。
MTP関節角度も足部の圧縮の運動学に影響し、アーチ伸張に有意な効果があった。 MTP関節伸展位では、MTP関節の屈曲位と比較して、負荷試験中にアーチの伸びを増加させた(D=0.0085±0.0026,P=0.0053±0.0020,p<0.01)。 アーチ圧縮(D=0.72±0.16,P=0.69±0.18,p=0.23)、ΔMLA角度(D=2.6±0.9°,P=2.8±0.7,p=0.25)、Δhelical軸回転(D=4.2±2.1°,P=3.6±0.9°,p=0.20)に有意な効果はなかった(tabel 2)。 圧縮速度とMTP関節角度の間の変数いずれにも有意な相互作用はなかった。
helical軸の傾きの第1および第2成分は、傾きの分散のそれぞれ65.0%および30.8%を説明した。 第2成分は、MTP関節角度条件間で有意差があり(p<0.05)、第1成分ははなかった(p=0.10)。 第1成分は主に、前後方向(横断面回転)、第2成分は上下方向(前額面回転)における回転軸の傾き変化を説明している(図S1を参照)。 MTP関節を伸展したとき、屈曲時と比較して、回転軸はより上前方に向いていたため、中足部は反時計周りで変形した(figure 6)。 対照的に、MTP関節が屈曲すると、アーチは主に矢状面で圧縮された。
4. Discussion
本研究の目的は、ウインドラスとアーチスプリング機構との相互作用を理解し、MTP関節伸展を介してウインドラスを働かせ、動的圧縮中のアーチエネルギーに及ぼす影響を調べることであった。我々は、MTP関節伸展が足底筋膜を予め緊張させ、アーチを補強すると仮定した。 しかしながら、仮説とは対照的に、ウインドラス機構の関与はアーチの剛性を減少させ、エネルギー吸収と放出を増加させた。 したがって、MTP関節伸展の効果は、足部の機械的エネルギー断面を変更するで歩行運動に影響を及ぼす可能性がある。
ウインドラス機構は、MTP関節が伸展された時に、アーチ高が増加し、長さが減少すると予想しており、これは負荷の無い状態で確認された。 MTP関節角度とアーチ伸張との関係は、すべての被験者にとって高い相関があり、大部分は一致していた。 静的で無負荷の場合とは対照的に、ウインドラス機構がアーチの動的運動を説明している場合、一定のMTP角度であれば、アーチの長さに変化はないはずである。 しかし、圧縮中に伸張したアーチは、この変化に対応するために足底筋膜が変形しなければならないことを意味した。 これは、先行研究における足底筋膜の伸張度の測定と一致しており、動的荷重中のウインドラス機構がアーチの挙動を完全に説明しないことを示唆している。
しかしながら、ウインドラスは、動的荷重中のアーチエネルギーを調節した。 ウィンドラス機構が作用すると、アーチが大幅に短縮され、アーチを横切る他の組織が安静時の長さに近づくようなった。アーチは、その組織の非線形弾性特性に起因して、より大きな偏位をもたらすことができる。 これは、機能的にアーチのスティフネスを低下させ、より大きな伸張をもたらし、その結果、足部への周期的な負荷中に、より大きなエネルギー吸収および放出を促進する。 足部の特定の内部構造に対するMTP関節角度の小さなずれの影響は、これらの方法では決定できないが、アーチ形状および長さを変えることにより、アーチの軟部組織に供給される負荷の割合が変化する可能性があった。 これらの構造間の粘性の差も、アーチ内の放出エネルギーに影響を与える可能性があった。
圧縮の速度はアーチのエネルギーにはほとんど影響がなかったが、slow試行に比べてfast試行で圧縮されたときに、より多くのエネルギーが吸収され、戻された。両方の負荷速度において似た様なピークフォースおよびピーク変形が見られた。しかし、fast荷重条件(より弱い力で剛性の増加を可能にする)においてより直線的な剛性が、吸収と戻りエネルギーの増加の主な原因であった。同様の負荷条件下でアーチスティフネスを変化させることを示した研究では、足部内在筋の活性化によるとの結果を示した。そして、より小さな力でのこの小さな剛性の変化が起こる可能性がある。この実験では、筋内筋電図を必要とする足部内在筋の活動を測定しなかったため、試行間の筋活動に差があるかどうか確認することはできない。我々は、筋活動は、主に力の適用によって発動されると仮定している。しかし、伸張速度によって活動に微妙な違いがあるため、アーチで吸収され、戻されるエネルギーの差が出る可能性がある。さらに、速度条件間の放出エネルギーには差がなかった。これは、一般に、粘性エネルギー放出の変化を引き出すために桁違いのひずみ速度を要する生物学的組織と一致した。
MTP関節伸展は、足部がどのように変形するかを修正した。helical軸の測定は、前足部が後足部に対してどのように動くかを示し、その結果、記述された動きは足全体の位置とは無関係であった。 2種類(伸展位と屈曲位)の圧縮条件間では、軸が同じままであることが予想された。しかし、MTP関節が伸展されたとき、前足部は、MTP関節屈曲位と比較して、後足部に対してより傾斜した軸周りを動いた。これは、機能的には、後足部が同じ位置にあると仮定すると、MTP関節が伸展しているときに前足部が横断面内でより多く回旋する(すなわち外旋する)ことを意味する。横断面においてより多くの動きが生じた場合、負荷の増大は、足底筋膜の内側バンド、三角靭帯または母趾外転筋のような種々のarch-spanning構造により、前足部の外旋に対して抵抗する。言い換えれば、足部内の負荷は異なる組織に再分配され、組織のモーメントアームと材料特性の相違の結果としてアーチエネルギーに影響を及ぼす可能性がある。
helical軸の矢状面(MTP関節屈曲位)から3平面(MTP関節伸展位)への変位は、矢状面のみの2次元トラスモデルが内側縦アーチの挙動を適切にモデル化しないことを示している。 これは有意なアーチ伸張以外に、有意でないアーチ圧縮によって支持される。 さらに、ΔMLA角度の変化もhelical軸の回りの回旋量も、MTP関節角度の条件間に有意差を示さなかった。 これは、Fullerの示唆した、2次元モデルでは考慮されない横アーチの変化がありため、3次元モデルがアーチエネルギーと動きをより適切にモデル化することを示している。
この研究の1つの限界は、我々の実験設定が、歩行中の状態を正確に再現しなかったことである。健常歩行におけるMLA角度の範囲(立脚中期で約4度、プッシュオフ期は含まない)は、今回の値(2.1〜3.7°)に近い。しかしながら、第一MTP関節うをアーチキネマティクスは、ここで制御される条件の組み合わせでは必ずしもない。歩行中の足部の機能に直接的に関連づけることは困難であるが、ウインドラスとアーチスプリングとの間の新たな相互作用を実証した。これは、様々なMTP関節伸展角度に渡って一貫していると思われる。例えば、MTP関節の伸展が歩行中にイニシャルコンタクトの前に制限されていると、アーチの伸張、ひいては着地衝撃のエネルギー吸収を制限し、その後足部の衝撃吸収能力に影響を及ぼすことがあるかもしれない。それはまた、アーチエネルギーを変えて。異なったアーチ組織を緊張させることで、足を違う形状に変形させる可能性がある。したがって、ウインドラス機構は、イニシャルコンタクトの際にも、プッシュオフ期にも重要である。また、被験者の足のタイプ(例えば、扁平足、ハイアーチ)を確認しなかった。しかし、それでも条件間に有意差があることを発見した。
足部は、フォースプレート上の2点に接触していたので、前足部と後足部の力の割合を知ることができなかった。他の研究では、中足骨頭に対する幾何学的位置または圧力中心の位置に応じて、前足部または後足部に力を割り当てている。この場合、加えられた力の方向が1次元であるため、アーチエネルギーを定量化するために使用されるエネルギー計算式は、足裏の力分布について仮定することなくアーチの力学を示す簡単な方法であった。しかし、このアプローチは、伝達される機械的パワーの全体を過小評価する可能性がある。エネルギーはおそらく、踵の脂肪体のような他の柔らかい組織でも吸収され放出する。歩行中の踵脂肪体におけるエネルギー放出は、屍体実験では28.6±6.9%、生体内実験では17.8±0.8%であることが示されている。これらの方法で下肢のアーチと軟部組織の貢献を分離することはできないが、MTP関節の伸展によって膝関節、足関節、踵の脂肪体の軟部組織のエネルギー放出が変化することは考えにくい。
今回の結果にはいくつかの臨床応用が考えられ。靴と装具の設計でMTP関節角度を変化させることは、衝撃吸収、アーチの機能的回転軸およびエネルギー節減に影響を与える。例えば、先行研究では、靴の曲げ剛性を上げるとMTP関節の伸展が制限され、この関節のエネルギー損失を減らすことができ、自然なMTP関節伸展が制限されない臨界スティフネスに代謝最小値が存在することが示されています。地面反力ベクトルから足首関節中心までのレバーアームは、靴の曲げ剛性が増加するにつれて増加するとも言われている。しかしながら、MLAのキネマティクスへの影響は考慮されていなかった。本研究は、所定の位置で被験者をはだしの状態で計測した。歩行中の靴の力学に完全に変換されないかもしれないが、靴の中でアーチとMTP関節の位置は、足と靴を組合わせたエネルギーに影響を及ぼす可能性がある。
ウィンドラスの機能とアーチスプリングの相互作用の理解に加えて、足底筋膜炎などのアーチ関連の病状をさらに理解する上で臨床的意味を有する可能性がある。この病理におけるウインドラスの抑制もしくは関与は、歩行動作および患者のリハビリに機能的な影響を及ぼす。最後に、ウインドラスとアーチスプリング機構の間の相互作用が、自然選択の対象であると仮定されたパフォーマンスと経済性に影響を及ぼすので、これらのメカニズムの解明は、進化生物学の分野に関わるかもしれない。
5. Conclusion
ウインドラスメカニズムは、アーチが抵抗なく変形できる静止位置でのアーチ機能を説明する。 しかしながら、動的圧縮における、一定のMTP関節角度でのアーチ伸張、それに関連するエネルギー吸収と戻りは、アーチ機能における足底筋膜の役割を完全には定義しないことを実証した。 全体として、ウインドラスの機能は、足の形状を変え、足部のアーチスプリングの振舞いとエネルギーに直接影響する。
Authors’ contributions.
All the authors conceived the study.
L.W. designed and conducted the experiment.
L.W. analysed the data and wrote the paper with help from M.J.R.
L.A.K. and G.A.L. developed the apparatus.
All the authors assisted in the interpretation of results and edited the manuscript.
Competing interests. We declare we have no competing interests.
Funding.
G.A.L., L.A.K. and M.J.R. received funding from the Australian Research Council (DP160101117), which supported this project.
M.J.R. and L.W. are funded by the NSERC Discovery Grant (RGPIN-2015-04688).
L.A.K. is funded by a National Health & Medical Research Council Peter Doherty Fellowship (APP1111909).
総評:A
足部機能を表す上での古典的考え方であるウインドラスメカニズムに新たな視点を加えた点は興味深い。ただ、実験設定がかなり限定的でこれで歩行や走行中のダイナミックなアーチ挙動を説明するにはまだまだ、検証が必要である。人間の足の動的機能はまだまだ解明されてないことを改めて確認できた。
研究の限界
著者
実験設定が、歩行中の状態を正確に再現しなかったこと
被験者の足のタイプ(例えば、扁平足、ハイアーチ)を確認していない
足部がフォースプレート上の2点に接触していたので、前足部と後足部の力の割合を知ることができなかった
金子
足タイプを分類していない。身長・体重・足サイズといった体格と体組成はある程度揃えるべき。男女を混ぜている。
静的なウインドラス機構の検証が3角度条件だけで相関を出している。伸展屈曲の角度に個人差が大きい。